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OUTSIDE THE STORY / はじまり

一人の顔から、四人のバンドへ

「新しい一枚」ではなく、人物の次の一面を見たくなった筆者が、なぜ音楽とバンドをVEILの起点にしたのか。見た目と仮の性格を置き、ChatGPTとの壁打ちで大まかな人生案をつくり、筆者自身の解釈と人物シートで4人を形にしていった制作の始まりを記録します。

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※この記事は、VEILの物語世界の外側にある、非露骨な制作記録です。

前回、似た見た目の新しい一枚を増やすことだけでは、欲しかったものに届かなかったと書きました。少し知っている人物が、次にどんな一面を見せるのか。それを待てるようにしたくて、物語を持つ成人の架空キャラクターをつくろうと思いました。

では、その人物をどこに置くのか。

答えは、かなり早い段階で音楽でした。

筆者の人生には音楽がずっと関わってきました。演奏する側のこと、ライブの前後にある空気、続けることの楽しさや難しさ。すべてを知っているわけではなくても、自分の言葉で書ける内側がある。その場所なら、人物が何を大事にし、何に迷い、どんなときに自分らしくいられなくなるのかを、ただの設定ではなく物語として考えられると思いました。

だから、バンドを起点にすることは早く決まりました。

一人の人物だけを先につくる方法もあったはずです。でもバンドなら、同じ音楽へ向かいながら、それぞれ違う理由でそこにいる人たちを置ける。ステージの上だけでなく、仕事や生活、練習、待ち時間、仲間との距離もある。一人では見えにくい顔が、誰かと並んだときに見えてくる。その場所をVEILと呼ぶことにしました。

次に考えたのは、四人をどう違う人にするかでした。

最初に置いたのは、見た目の方向と、ごく大まかな性格でした。ふだん見てきた俳優やミュージシャン、芸能人たちから受け取った印象を手がかりにして、「この人はこういう空気を持っていそうだ」という輪郭を考えていきました。

これは、実在の誰かを写したり、再現したりするための作業ではありません。成人の架空キャラクターの入口として、好きな雰囲気を言葉に変え、四人が同じ人に見えないための最初の方向を探す作業でした。髪型や顔立ち、背の高さだけでなく、近づきやすそうか、話しかけにくそうか、動いているときにどんな重心に見えるか。そこに「明るい」「静か」「強そう」といった仮の言葉を添えました。

けれど、そこから一人の人生をすべて自分だけで組み立てるのには、かなり時間がかかります。

そこで、ChatGPTとの壁打ちを使いました。見た目の方向と、その時点で考えた性格の核を渡して、「この人は幼いころから今まで、どんなことを経験してきたのだろう」と、まず大まかな物語を考えてもらいました。

最初に出てくるのは、完成した人物の正解ではありません。筆者にとっては、考え始めるためのたたき台でした。子どものころの出来事、音楽との出会い、人との距離の取り方、今の性格につながるかもしれない理由。それを一度、物語のかたちで読むと、「これは違う」「ここは、もっとこうだったのではないか」と自分の考えが出てきます。

その違和感や納得を、少しずつ足していきました。

本人ならこういうときに何を選ぶだろう。なぜ音楽を続けているのだろう。外からは明るく見えるのに、どんな場面で一人になりたがるのか。静かに見える人は、何を言わずに抱えているのか。ChatGPTが出した大まかな来歴へ、筆者が「こうだったんじゃないか」と思うことを加え、違うと思うところは直し、また考え直す。その往復のなかで、仮の性格が少しずつ、その人自身の理由を持ち始めました。

見た目は、性格の答えではありませんでした。何を考えなければならないかを教えてくれる最初の質問でした。同じように、ChatGPTが出した人生の初稿も、人物を決める答えではありませんでした。筆者が自分の感覚で問い返し、選び直すための質問でした。

この時間は、思ったより長くかかりました。一つの性格を決めると、別のことも決まります。過去にどんな選択をしてきたのか。バンドでどんな役割を担うのか。親しい相手の前では、外から見える印象と同じなのか。答えを足すたびに、前に決めたこととぶつかることもありました。

会話の中だけに人物を置いておくと、少しずつ話が混ざっていきます。前に決めたことを別の言い方で忘れてしまったり、二人の特徴が似てきたりする。四人を同時に考えていると、なおさらです。

そこで、人物ごとの記録をつくりました。一人ずつ、見た目の方向、性格の核、これまでのこと、音楽との関わり、人との距離を置いていく。さらに四人を並べ、同じ説明を別の人に与えていないか、行動の理由が前後で変わっていないかを確かめました。

この記録は、人物を一度で完成させるための台本ではありません。考え直すための場所です。新しい場面を書いたとき、以前の言葉と矛盾しそうなら戻れる。逆に、まだ決まらないところは、決まっていないまま残せる。会話の記憶だけに頼らず、人物の輪郭を外へ出して見比べることが、四人をそれぞれ別の人として育てる助けになりました。

VEILは、最初から四人の完成した人物がいたプロジェクトではありません。音楽を書ける場所にしたいと思い、バンドを置いた。見た目と仮の性格から、ChatGPTと大まかな人生の初稿をつくった。そこへ筆者自身の「こうだったんじゃないか」を重ね、記録にして、何度も辻褄を合わせていった。その時間の中で、少しずつVEILになっていきました。

次は、四人のなかから最初に形になった人物を取り上げて、見た目の方向と仮の性格が、どのように物語の人物へ変わっていったのかを書きます。

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